目にとまりました。
昭和初期に活躍した三井財閥の池田成彬(せいひん)は
『たった、30分ほど経営者から話を聞いただけで、担保の有無にかかわらず融資額や融資条件を即断し、そのほとんどが経営破綻に至らなかったという』(WEDGE 2008 4月号)。
なにか心理アセスメントのヒントになるかと思い、この池田成彬についての本を読んでみました。
江上剛著『我、弁明せず。』 PHP
当初の目的には役立ちませんでしたが、いい意味で裏切られました。
池田成彬(せいひん)は、昭和初期の財界人ということができるでしょう。昭和の一時期、戦前から戦後直後までの旧三井財閥を実質的に取り仕切っていた人です。昭和12年日本銀行総裁に就任し、第一次近衛内閣のとき、昭和13年(1938年)5月から、昭和14年まで大蔵大臣をつとめています。
こうした経歴を見ると、出世欲や金銭欲の強い人かと思いますが、実際は、全く逆で、むしろ私利私欲にはあまりこだわりがなく、そのこだわりのなさゆえに、本質をとらえる目をもち、そのため、強く乞われてそうした重責を伴う地位に就かざるを得なかったようです。
面白いエピソードもあります。福沢諭吉の経営する時事新報に入社したが、福沢のワンマンぶりにたまらずに、会社を辞めたとか、留学のときに、スカラシップを断ったとかなどです。
しかし何と言っても、腹芸や根回しを嫌った生活スタイルには驚きました。そしてそのため、非常に悲しい出来事も起きるのですが。
この本を読んで思ったのは、成彬の生活というか凜とした生き方に清々としたものを感じたこと、そして、東條英機や近衛文麿ら、日本開戦当時の政府要人の、ひどさですね。特に、東條英機はどうしようもないと実感しました。どうしてこんな人が、首相だったのでしょう。暗澹たる気持ちが残ります。
しかしこの本は、池田成彬という人を知るいい機会になりました。こうした読みやすいかたちでまとめてくれた著者の江上剛さんには感謝します。
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