2008年08月07日

「自閉症」の子をもつ家族 ―専門家に翻弄されて―

 今回は、歴史的な本を紹介します。
 自閉症という障害については、
原因や治療法が1960年代頃から
現代にいたるまで、二転三転しています。
 そうした学問的混乱に翻弄されてしまったのが
その当時こうした障害を抱えていた子どもをもつご家族
でした。
 たとえばこんな本があります。

 この本はノアという息子さんをもつ
父親の視点から書かれています。
 ノアは、1966年に生まれました。
著者である父親はグリーンフェルドさん、
母親は、作家の米谷ふみ子さんです。
 この本には、ノアの発達が遅れていることに
気づき、診断や治療法をもとめて、
奔走し、その結果にまた翻弄される姿が
混乱した形のまま、えがかれています。
 この当時はまだ、はっきりと
自閉症の病因がわかっていませんでしたので
フロイト派の精神・神経科医が出てきていますが、
著者は、こうした考えには、当時にあっても
否定的な意見を述べています。
 そして、自閉症の世界では著名な、
リムランド、そしてロバースも登場します。
しかもロバースの行動療法を実際に
ノアが受ける様子もえがかれています。
特に、食べ物という強化子の効果を強めるために、
絶食をさせるところなど胸が痛みました。
(もちろん、今のロバース法はそこまでは
しないでしょう。歴史的な一つのプロセスでしょう。
また、著者はロバースについて肯定的な評価を
しているところが少なからずあります)
他にも、ビタミン療法もためされているようです。

 現代では疑問視されている見解でも
当時は、研究者や教育者の間で支持されていたのですね。
また、原因や治療法がまだ解明されていない病気や障害には、
いろいろな考え方が参入し自説を展開し、
それにご家族は翻弄されてしまうことが
あるわけですね。それは今でも変わらないのかもしれません。
 私自身が今、妥当だと思ってしている臨床的介入も
あと数十年したらどう評価されるのでしょうか。
自説に対して、つねに検証し開かれた視点を
持っていないといけないと自戒せずには
いられません。


ラベル:自閉症
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